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学芸員の投稿
Update: 2013年11月18日
寝屋川市仁和寺の国役堤
 国役堤を説明するまえに、まず国役を説明しましょう。
国役とは国ごとの石高を基準として、所領の別なく、平均的に課せられる役のことです。そのようにして挑発された人足によって大河川の堤防普請を行うのが国役普請です。
 その国役普請の対象となる堤防が国役堤です。
 淀川堤も国役堤でした。写真の堤防は寝屋川市仁和寺の堤防です。かつて上庄 仁和寺とも呼ばれていた場所です。
 堤には榎の林が形成されていたので、東海道の一里塚があった場所と考えられます。
 その仁和寺堤防は延宝2(1674)年と享和2(1802)年に水害で堤防が切れてしまいます。
 写真の堤がちょうど享和2年に切れた場所付近になります。
 切れたまま放置されているのが不自然だったので少し勉強しました。
 すると神戸大学附属図書館の河内国茨田郡点野(しめの)村文書がありまして、その解題というのがありまして、それを読んでいくと、享和3年までは国役といえども、とりあえずの補修であったことが記されています。そのために切れた状態で残っているかもしれません。
 これはもしかすると文禄堤の遺構そのものではなかろうかと思われます。貴重な近世土木遺産であります。
Written by 暇仁
学芸員の投稿
Update: 2013年11月18日
杉玉で町並み景観を
 今秋に収穫した新米で仕込んだ新酒のできあがりの便りがあちらこちらで聴かれるころとなり、吾が河内長野でも新酒が出来上がったことを、酒蔵の軒先に飾って告げる杉玉づくりが行われました。
 南海高野線「河内長野駅」近くに、「天野酒」で知られる西條酒造という蔵元があります。ここの酒蔵が旧高野街道沿いに並んで建っています。この蔵前の一角で町おこしに取り組むボランティアによる杉玉づくりが14日・15日に行われました。作られる杉玉は直径40~50cmほどの大きさのものを43個作るそうです。この杉玉を周辺の民家の家々に飾って町並みの美観を醸し出し、かつての蔵前通りの賑わいを取り戻そうとするもので、ボランティア団体と西條酒造さんとのコラボレーションで数年前から行われています。
 杉玉の原材料である杉の小枝は、3ヶ月前から調達の計画を立てられます。山で間伐した杉から枝を切り、林道まで運び出し、一定の長さに切り揃えて作業現場まで運び込む。この杉の小枝の調達は多くの団体の協力で進められます。1つの杉玉を作にはおよそ、大きな杉の木1本から切りだした枝が必要だそうです。これを間伐材の杉から作ります。
 杉玉を作るには、芯となる、直径18~20cmぐらいの球状の骨組みを太い針金で作ります。これに長さが25cmぐらいの杉の小枝を差し込んでボール状に作っていく。隙間なくぎっしりと差し込みます。仕上げは剪定鋏で球状に形を整えて完成します。丁度サッカーボールよりも1周り大きな杉の葉のボールと考えればよい。重さはかなり重く5Kg 以上なります。21日~25日の期間、43個の杉玉を酒蔵前の通りで展示するそうです。
Written by 岩湧太郎
学芸員の投稿
Update: 2013年11月18日
錦渓山極楽寺の百万遍数珠繰り
 南海高野線「河内長野駅」近くの古野町にある、融通念仏宗の錦渓山極楽寺は、毎年11月14日の夕刻から十夜会が行われています。今年もたがわず例年通り行われました。ここは、むかし聖徳太子が温泉寺を建てた霊場の地と言い伝えられています。
 当山では、本堂内の内陣に安置されたご本尊の阿弥陀如来の前で参拝者が輪になり、僧職が鉦をならし、住職を導師とて念仏を唱和しながら大数珠繰りが行われます。大数珠が両手でささげ持ち念仏を唱えながら数珠を送っていきます。この大数珠の1カ所に房が付けられており、これが廻ってくると大数珠を上に捧げて拝みます。大数珠繰りが幾周りか行われます。これを百万遍数珠繰りといわれ、各々が一珠繰るごとに念仏を唱え、その総計をもって百万遍念仏を唱えたとみなし、億万遍の功徳が成就するという教えに従って行われています。
 数珠繰りが終わると住職の法話があります。その後で参拝者に温かい小豆ご飯と具沢山ののっぺ汁が振る舞われます。参拝者はおしいただいて、阿弥陀様に感謝しながら美味しく頂きました。
 十夜会は、旧暦10月6日から15日までの10日間、昼夜つづけて行われた念仏会であることからこの名前がつけられました。浄土宗の三大教典の1つ「無量寿経」の中に“この世で十日間よい行いをすることは、仏の国で千年間良い行いをすることよりも尊い”と説かれているために、その教えに従ってはじまったそうです。現在では1日だけのおつとめをすることが多いようです。 阿弥陀さまが私達を救って下さることに深く感謝し、無量寿の命に生かされて生きている喜びを分かち合い極楽浄土に思いを寄せて、念仏を称えます。また秋に行われることから、天地自然の恵みに感謝することでもあります。
Written by 岩湧太郎
学芸員の投稿
Update: 2013年11月18日
延命寺の夕照もみじ
 河内長野市神ガ丘にある延命寺は、もみじの名所として知られています。そのもみじがいま紅葉の見頃を迎えています。
境内は紅葉に染まっています。なかでも、樹齢800から1000年と伝えられているのが夕照もみじで、一際めだった存在です。この古木が色づき始めました。特に夕に映える姿が美しいと昔から言い継がれています。本樹は、天然記念物として大阪府から昭和45年2月20日に指定を受けています。記録によると、樹高9m、樹幹周囲5m、根張りの面積は東西12m、南北15mです。寺伝によると弘法大師お手植えの楓といわれています。本樹は他の幾百本の桜楓とともに林泉の美しさ、さらに堂宇の配置との調和と相まって清趣を強めています。
 お寺の境内は大阪府の公園と隣接しており、この公園はもみじ山といわれるぐらい沢山のもみじが植っています。ここが紅葉するとお寺と違った趣のすばらしいさがありますが、まだ紅葉には少し早いようです。
Written by 岩湧太郎
学芸員の投稿
Update: 2013年11月18日
2013年酒林の製作が始まりました。
14日、西條酒造さんのブログで『14日から今年の「酒林(さかばやし)」づくりが行われる』と書かれていたので、参加しました。
お昼に着いたときは、皆さん食事中で製品ができていなかったので、キックスでの講座に参加して、帰りに寄りました。製作中の担当の方がおられたので、写真の撮影とお話を伺いました。
この日から2日間で40軒分の「酒林」が作られるそうです。そのために石見川の奥にある奥河内のセノ谷沿いの山の中で、30mの河内産のスギの木を50本ほど切り倒して、上部の柔らかい杉の葉を集められたそうです。トラックで3台分の容量になったそうです。杉の伐採から酒林づくりの作業は、河内長野森林ボランティア「トモロス」さんが行われました。
トモロスさんは『河内長野市内の森林の保全と育成に自発的に参加し、森林における生物の共生と環境保全のための市民ボランティア活動を楽しく、積極的、継続的に行う』ことを目的につくられた団体です。この日は皆さんが作業されていました。
15日には町内の方が参加されて、自分の家に飾られるものを作られて、22~25日まで高野街道沿いの西條酒造さんの店の前に飾られます。25日には、今年の新酒ができるということで、神式によって、酒槽式(さかふねしき)が行われます。酒造りには、特別の神様がいます。奈良の大三輪神社です。
スギの束ねた玉をつくります。これを杉玉とか酒箒(さけほうき)とも言います。一般的には酒林といい、店先につるします。江戸時代には、毎年新しい杉の葉で、新酒ができる頃に酒林をつくりました。スギは常緑樹であり、一年中青い葉を得ることができます。杉には、殺菌作用があるなどの理由から、昔から造り酒屋では、杉を便利に使ってきました。酒を貯蔵する樽も杉で作られています。
色が変わっていく過程で、お酒が醸されていくと言います。
Written by マロンさん