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学芸員の投稿
Update: 2014年7月15日
開花しはじめた興禅寺の白蓮華
 河内長野にある八幡山興禅寺は、元は小高い山中に建立されていたが、周辺が住宅開発されて美加の台団地に囲まれています。しかし木々に囲まれ喧騒と隔てられた静かな佇まいです。当山では羅漢像に護られた蓮池=写真上=に、白い花弁の蓮華が開花する時季を迎えました。当山の蓮華は斑蓮(まだらはす)と称し、特徴は白い花弁の縁が紫赤色で細く彩りしています。それが表裏で異なっており、その縁の彩りが斑蓮の中で最も細いところが顕著な特徴とされています。蕾は円錐形をしています=写真下、7月11日撮影=。今年は華の数が例年に比べて少ないように感じますが、咲き揃うと見事なものです。千数百年前から咲き続けているそうで、今頃の季節に、池一面に緑の荷葉が覆った中で早朝から咲き始めます。暑い時に一陣の涼風が池一面に覆れた緑の荷葉中で、白い華をそよがせる様は浮き世を一時忘れさせてくれます。
 当山は本市内でただ1つの禅寺で、神護景雲元(767)年に行基菩薩が創建し、古称補陀洛山神宮寺あるいは大乗院とも言われ、観世音菩薩を本尊として祀られ鎮守として、錦部郡屈指の霊場であった。時代の変遷後、元禄12(1699)年に養遇了性禅師が禅宗(曹洞宗)に改宗し、阿弥陀如来を本尊として伽藍を禅宗様式に増改築しました。徳川家譜代大名膳所藩本多康慶をはじめ諸大名の庇護のもと、当山の基礎が築かれ現在に至っています。
Written by 岩湧太郎
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